僕の思うアートのかたち

 3/11に起こった東日本大震災。私は、この震災で、旧約聖書にあるバベルの塔の話を思い出さず にはいられません。どんなにすばらしい高度な技術をもつ都市でも人間の技術には限界があり、自然災 害のまえでは無力です。かつて世界には、今の技術者達でも理解のできない数々の高度な文明の都市 が、繁栄し滅んでいきました。この震災で、私たちが学び、考えなければならないものは何でしょう か?このまま、従来どおりの歩みで、地球上の資源を消費し、競い合って高い建築物をつくったり、よ り便利なもの新しいものを手に入れることが幸せのカタチなのでしょうか?まさにいま、人類は、地球 に幸福の価値基準の転換を迫られているように思います。
 そんないま、ARTはこれから人と地球とどのように関わればよいのでしょうか? その答えの一つが 地球に隠されていることを私は知っています。それは、もしかすると、かつて、滅んでいった都市の生 き残りが、また同じ過ちを繰り返さぬよう祈りを込めてつくった願いだと信じています。その答えは、 地球という言葉に隠されています。
 地球は英語でEARTHと記す。その最初と最後の文字を抜くとARTと いう言葉が残る。最初の文字Eと最後の文字Hは何を意味するのでしょうか?最初の文字Eは、edenを 示します。エデンは人類の始まりであり、生命の誕生を意味する。最後の文字Hは、heavenを示し、 神々の聖地、また、人の死後の世界であります。私は、このEからHを繫ぐもの、人が生まれ、天国へ と向かうまでを繫ぐものが本来のARTのあるべき姿だと信じます。ARTはヒト一人一人のなかに様々な かたちで存在し、その人の人生そのものであると。そしてまた、この世の中に、自分だけの世界など存 在しません。全ては、一つです。ARTにはバラバラになったものを、一つにつなげる力があると思いま
す。芸術は、一人の殻に閉じこもるものではありません。みんなのものです。この宇宙すべてのもので す。
  僕は、そう信じています。